労使トラブルが発生したら

労使トラブルが発生したら

トラブルがどの段階にあるかを確認する

 

労使トラブルと言っても、人間の病気と同じように、初期・進行中・末期というように段階ごとに対処法が変わってきます。
また、誰が会社にどういった請求をしてきてるのかによっても会社の対応は変わってきます。

 

労使トラブルの段階としてはおおよそ次のとおりです。

  1. 労働者(またはその代理人)から「請求書」や「通知書」といったタイトルの文書が送られてきた
  2. 労働基準監督署から呼出しを受けた
  3. 労働局や社労士会労働紛争解決センターから「あっせん開始通知」が送られてきた
  4. 労働組合から団体交渉を申し入れられた
  5. 裁判所から「労働審判手続申立書」と期日呼出状が郵送されてきた
  6. 裁判所から「訴状」と期日呼出状が郵送(特別送達)されてきた
 

労働者(またはその代理人)から「請求書」や「通知書」といったタイトルの文書が送られてきたら

 

まず、どういった請求をしてきているのか、その請求はどういった法律に基づいているのか、請求原因となる事実の有無、これらを検討しなければなりません。
そのうえで、会社として応じる必要のない労働者の請求と、会社として認めざるを得ない労働者の請求とをある程度明確にします。
会社として認めざるを得ない労働者の請求部分については、どの程度認めるのか、裁判になった場合に予想される判決や、世間相場、会社の財務事情などを総合的に考慮して、会社として最大限応じることができる上限を決めます。

 

次に会社として労働者にどういった回答をするのかを検討します。残業代などの支払いを労働者から請求されている場合は、事実関係の整理や残業代の計算に時間を要します。このような場合には、正式な回答をする前に、事実関係の確認のために時間を要する旨を、とりあえず回答しておきます。その後1ヶ月程度を目処に正式な回答を行います。

 

労働者からの請求にあいまいな部分がある場合や、交渉の余地がある場合などには、一度、労働者本人やその代理人に直接会って話しを聴いてみる必要があるかもしれません。そういった場合には、話し合いを希望する旨の回答を行います。
労働者からの請求がよほど理不尽なものでない限りは、一度、直接労働者またはその代理人に会って、労働者やその代理人の話しを聴いてみるべきでしょう。
なお、労働者の代理人としては一応弁護士(残業代等賃金の支払い請求で、請求金額が140万円以下であれば認定司法書士が代理人になっていることもあります。)しか考えられないので、その他の者(例えば労働者の父母や配偶者)から何らかの請求が送られてきている場合は、どういった権限でその労働者の代わりに請求しているのかを確認した上で、話し合いを行うときは、必ず労働者本人から話しを聴くようにしなければなりません。

 

労働者との交渉は、直接会って話を聴く方法のほか、文書を交換する方法もあります。文書の交換による交渉を行うときは、会社から労働者に送付する回答書に、、「回答書に対する返答を文書にて希望する」旨を記載します。

 

労働者からの請求に応じない場合には、回答書に、「請求に応じる義務はない」旨を理由を添えて記載します。ただし、こういった回答をする場合には、その後に労働者が労働基準監督署へ会社の労働基準法違反等に係る申告を行ったり、法的な手続き(労働審判や訴訟)に訴えてくることも十分予想されます。こういったリスクを十分検討しておく必要があります。

 

労働基準監督署から呼出しを受けた

 

労働基準監督署から呼出しを受けたときは、素直に応じておくべきです。
呼出し期日には、賃金台帳や出勤簿・タイムカード等法定帳簿を持参することになります。これら帳簿類に不備がないか事前に確認しておきます。

 

残業代の不払いを理由として、労働者が労働基準監督署に申告している場合は、呼出しを受けた日以降に会社で残業代の計算をすることになります。
もっとも、会社として残業代の不払いはないとの確たる認識があるときは、その旨とその理由を文書にして、労働基準監督署へ提出します。

 

解雇予告手当の不払いを理由として、労働者が労働基準監督署に申告している場合は、そもそも会社が労働者に正式に解雇通知を行っているのかどうかがしばしば問題となります。会社として労働者に解雇の意思を通知しているのかどうか、検討してみる必要があります。

 

労働基準監督署から是正指導を受けた場合で、その内容に会社として争いがない場合は、速やかに法違反の状態を是正したうえで、是正報告書を労働基準監督署へ提出します。

 

労働基準監督署から呼出し等を受けたときは、社会保険労務士に相談して、呼出し期日に社会保険労務士を同席させておくとよいでしょう。

 

労働局や社労士会労働紛争解決センターから「あっせん開始通知」が送られてきた

 

労働局や社労士会労働紛争解決センターのあっせん制度は、裁判外の個別労働関係民事紛争解決制度です。このあっせんは、労働者と会社が、あっせん員が両者の間を取り持つ形で、和解により紛争の解決を図るものです。

 

あっせんは、裁判外の紛争解決制度ですから、紛争の当事者である会社は、あっせん手続きに参加を強制されることはありません。したがって、会社としては、あっせん開始通知を受けたとしても、あっせんに参加しないという選択肢もあります。会社があっせんに参加しないという意思を表明した場合は、あっせん手続きは終了します。
また、会社があっせんに参加することとした場合であっても、あっせん期日に労働者と何らかの和解を結ばなければならないというものでもありません。あっせん員が示したあっせん案に同意できなければ、あっせんを拒否しても構いません。

 

あっせん開始通知が送られてきたときに、会社があっせん手続きに参加するかどうかは会社の自由です。もっとも、(仮に労働者の請求が理不尽な内容であっても)あっせんには可能な限り参加すべきです。前述したように、あっせんに参加してもあっせん期日に和解をする必要はありません。労働者の請求が理不尽であれば、その旨をあっせん員に伝えて、あっせん員から労働者に、会社の主張を伝えてもらうこともできます。また、あっせんは、裁判所の労働審判や訴訟のように、法的な主張立証責任を求められることはありません。かつ裁判所の労働審判などに比べて、より柔軟に会社の事情を聞き入れた形で和解を図ってくれることがよくあります。例えば、解雇に係る事件であれば、労働審判で示される調停案(解決金)よりも、より低い解決金で和解に至ることがほとんどです。一般に解雇や雇い止め、未払い残業代などの労使トラブルは、会社から労働者に対して解決金を支払うことを条件に和解による解決を図ることがほとんどです。そうであれば、その解決金は会社としては低いに越したことはありません。あっせんで和解すれば、労働審判で和解するときよりも、解決金が低くなると考えて間違いありません。
ただし、会社として、和解による解決を図る場合であっても、ある程度トラブルに係る事実関係をはっきりさせたいという場合には、あっせんは不向きですので、そういったときは、その旨をあっせん機関と労働者に伝えたうえで、あっせんに参加しないということであっても構いません。

 

労働組合から団体交渉を申し入れられたら

 

こちらのページをご覧ください>>労働組合からの団体交渉の申し入れを受けたら

 

 

 

裁判所から「労働審判手続申立書」と期日呼出状が郵送されてきた

 

労働審判手続は、地方裁判所(原則本庁のみ。ただし福岡地裁は本庁のほか小倉支部でも、東京地裁は本庁のほか立川支部でも行われます。)で、事業主と労働者との間に生じた個別労働関係民事紛争(会社と個人労働者との間の労使トラブル)について、労働審判官(裁判官)と労働審判員(民間人で労使トラブルに精通した者2名)からなる労働審判委員会が、事件を審理して、調停を試み、調停では解決の見込みがない場合に、当事者間の権利関係を踏まえつつ事案の事情に即した解決を行うための労働審判を行う制度です。

 

労働審判手続申立書が裁判所から送付されてきた場合、通常は期日呼出状も同封されています。その期日には必ず裁判所の労働審判廷に出席しなければなりません。加えて、労働審判手続の第1回期日の概ね1週間くらい前までに、事業主は答弁書を作成してこれに必要な証拠等を添付して、裁判所と申立人に送付しなければなりません。

 

会社側で労働審判手続に参加する場合は、とにかく時間的な制約が大きいということがあげられます。特に、裁判所から労働審判手続申立書が送られてきてから答弁書の提出までに1ヶ月を切っていることも多く、しかも、訴訟の場合のように、本格的な準備書面や証拠の提出は第2回目の口頭弁論以降でよいというわけにもいきませんから、会社としてはかなりタイトなスケジュールとなります。

 

したがって、裁判所から会社に労働審判手続申立書が送られて来たら、会社としては、弁護士を代理人として、弁護士のサポートを受けることをまず検討すべきです。

 

もっとも、労働審判手続を弁護士に代理を依頼した場合、ある程度の弁護士費用を覚悟しなければなりません。
加えて、よほど労働者からの申し立て内容が理不尽なものではない限り、会社としては労働者に解決金名目の金銭を支払うことになります。
つまり、お金が出ていく一方ということになります。

 

そうであるならば、会社内で自力で答弁書の作成等が可能かどうかを検討して、可能であれば、代理人を立てずに自社内で対応してもよいでしょう。

 

当事務所では、労働相談の範囲で、労働審判手続に係る答弁書の作成方法や労働審判手続期日対応等のアドバイスを行っています。

 

 

裁判所から「訴状」と期日呼出状が郵送(特別送達)されてきた

 

まず、訴状や期日呼出状がどの裁判所から送達されてきたかを確認する必要があります。
裁判所は大きく、簡易裁判所と地方裁判所とがあります。
簡易裁判所では、訴額が140万円以下の事件を対象に審理します。
地方裁判所は訴額の上限なく審理の対象としています。

 

残業代等の賃金支払い請求で労働者が簡易裁判所に会社を提訴する場合、代理人を立てずに労働者本人で提訴(本人訴訟)することがしばしばあります。
こういった場合、会社として訴状の内容を見て、代理人を立てるべきか、代理人を立てずに、自社内の人材で対応するか検討すべきでしょう。代理人を立てる場合は、弁護士のほか認定司法書士が対応できます。

 

簡易裁判所の場合であれば、第1回目の口頭弁論期日から司法委員を間に介しての和解による解決が試みられることがよくあります。
会社として、労働者の請求内容を一定程度認めざるを得ないときは、一応答弁書を作成し必要な証拠を用意したうえで、第1回目の口頭弁論期日から裁判所に出廷して、和解による解決を図るべきでしょう。
もっとも、会社として労働者の主張を一定程度認めつつも、判決を希望するときは、複数回の口頭弁論と必要に応じて準備書面を作成し裁判所と原告である労働者に提出しなければなりませんから、そういった場合には、弁護士や認定司法書士等を代理人に立てておくべきかもしれません。

 

地方裁判所の訴訟の場合は、ほとんどの場合で弁護士が原告である労働者の代理人となっているはずです。このような場合は、会社内で対応することには限界があるでしょうから、労働法に精通した弁護士に相談し代理人となってもらう方が賢明です。

 

当事務所では、労働相談の範囲で、訴訟手続に係る答弁書等準備書面の作成方法や口頭弁論期日対応等のアドバイスを行っています。
早期の和解を希望する会社の社長さんは一度ご相談ください。

 

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