労働組合からの団体交渉の申し入れ対策

労働組合からの団体交渉の申し入れ

労働組合とは

「労働組合」とは、労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体をいいます。労働組合は労働組合法という法律でその要件が規定されており、要件を満たさない団体等は、労働組合とは認められません。

 

労働組合には、社内で組織されたものと、社外で組織されたものとがあります。
今日の中小企業の場合、団体交渉は、労働者が一人で加入できる社外の合同労組からの申し入れがほとんどではないでしょうか。

 

合同労組(ユニオン)とは、所属する職場や雇用形態に関係なく(正社員だけではなく、パートやアルバイトなども加入できます)、会社の枠を超えて産業別、業種別、職業別、地域別に組織する労働組合のことです。

 

日本には大きく分けて3つの労働組合の組織があります。

  • 日本労働組合総連合会(連合)
  • 全国労働組合総連合(全労連)
  • 全国労働組合連絡協議会(全労協)

 

中小企業と合同労組などとの団体交渉の対象となる事案は、ほぼ、賃金不払いや、解雇・雇い止め、退職勧奨、ハラスメント等の労使トラブル解決です。

団体交渉の大まかな流れ

会社側から見た団体交渉の流れはおおよそ次のとおりです。

  1. 労働組合から組合加入通知書と団体交渉申入書を受け取る
  2. 社内にて交渉内容の確認と今後の対応を決める
  3. 団体交渉期日
  4. 合意書締結(労働協約)
  5. 不調な場合は労働委員会のあっせん
  6. 労働審判や訴訟

 

労働組合から組合加入通知書と団体交渉申入書を受け取ったら

1.組合加入通知書と団体交渉申入書を受け取る
団体交渉申し入れ書等は通常郵送されてきますが、まれに労働組合の幹部が直接会社を訪れて手渡しすることがあります。
労働組合の幹部が手渡しするときに注意しなければならないのは、その場で団体交渉の日時や会場を決める必要はないということです。その場で組合幹部から日時や会場を決めるように迫られた場合は、「後日文書にて回答します」と答えておくにとどめておきましょう。

 

2.団体交渉申入書の内容と今後の対応を検討する
おおよそ次のとおりに確認・検討していきます。

  1. 労働組合に加入した労働者が誰なのかを確認する。あわせて社内に「分会」という労働組合の社内組織が形成されていないかも確認する。
  2. 団体交渉を申し入れてきた労働組合がどの系列(連合系なのか、全労連系なのか、全労協系なのか)を確認する。
  3. 団体交渉申し入れ書に記載の労働組合が要求している事項について検討する。
  4. 団体交渉の期日・場所・出席者を決める。
  5. 労働組合への回答書を作成する。

 

上記1については、特に社内組織が形成されていないかどうかが重要です。社内組織が形成されている場合は、ある程度労働組合が社内で広がってきていることになりますから、団体交渉対応だけではなくその後の労務管理の在り方についても慎重に検討する必要が出てきます。

 

上記2は、団体交渉を申し入れてきた労働組合がどの系列に属するかによって、比較的穏健な交渉を行う労組なのか、大衆的行動に打って出やすい労組なのか、ある程度予測できます。

 

上記3は、労働組合の要求事項ごとに会社として交渉の対象として受け入れなければならないのか、その必要はないのかを判断します。

 

上記4については、次のように決定するとよいでしょう。
@日時は交渉日を1ヶ月以内の日を一つの目安にし、交渉開始時刻を業務終了後の時間とします。交渉時間は90分から長くても2時間程度とします。
A場所は、自社や労働組合の会議室等はなるべく避け、住民センター等公共施設の会議室等を用意します。
B参加人数は会社と労働組合との人数がほぼ同数になるようにします。会社側の参加者には社会保険労務士等の補佐人を同席させるか労働法に詳しい弁護士を代理人として参加させておくとよいでしょう。

 

上記4は、団体交渉開催日時・場所・参加者に関する事項と、交渉事項(特に申入書に記載がない事項については交渉に応じない旨)を記載します。

 

労働組合に回答書を郵送すると数日のうちに労働組合から連絡が入ります。このとき団体交渉の日時等に問題なければ、会社からの回答書記載のとおりに団体交渉を行うことを確認します。会社の回答書記載の団体交渉日時に労働組合の都合が合わないときは再度調整します。

 

団体交渉の日時が決まったら、労働組合からの要求内容を精査します。特に労働組合の要求内容が法的に妥当なものか、法的要件に係る事実調査等を行います。

 

労働組合からの要求で、ある程度会社が譲歩しなければならない事項と、会社として断固譲歩できない事項があるでしょう。譲歩できない事項については、その理由を明確にしかつその根拠となる事実を可能な範囲で明示しておくと交渉はスムーズにいきます。

 

 

団体交渉で合意した場合

団体交渉で合意に至った場合、お互いに文書を交わして合意事項を確認します。
このとき注意しなければならないことは、労働組合作成の議事録にサインを求められてもサインに応じないことです。
労働組合作成の議事録にサインをしてしまうと、合意事項以外の事項についても、労働協約であると主張されることがあり、その後の労務管理等に影響を与えることがあります。

団体交渉で合意に至らない場合

団体交渉で合意に至らないときは、地方労働委員会に対してあっせんを申請することができます。
あっせんは、労働委員会が会社と労働組合の間を取り持って、合意形成を図ります。
通常は、労働組合からあっせんを申請するようですが、会社からあっせんを申請しても問題ありません。ただし、会社からあっせんを申請するときは、何らかの和解案を用意しておく必要があります。

 

近年、会社と労働組合の団体交渉が決裂したときに、労働組合紹介した弁護士を代理人として、労働者が裁判所に労働審判手続きを申立てる例が増えています。
紛争を長期化させたくない場合には、あっせんを積極的に活用することを会社として検討してみてもよいでしょう。

社会保険労務士は団体交渉の席に同席することが認められています

突然、労働組合から団体交渉申入書などを受け取った社長さんは、恐怖や怒りといった感情がこみあげてくると同時に、どのように対応したらよいか悩むところではないでしょうか。
労働組合からの団体交渉の申し入れに対しては、会社は、これを拒否できず、誠実に対応しなければなりません。
また、労働組合の幹部と言われる人たちは、労働法に精通しており、かつ団体交渉の経験も豊富です。

 

万が一、社長さんが労働組合から団体交渉の申し入れを受けて、どうしたらよいか迷っておられるのであれば、一度当事務所へご相談ください。
団体交渉を通じての労使トラブル解決をサポートいたします。

 


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